私が弟と一緒に暮らしていたのは、彼が18歳で大学進学のために家を出るまで。その後私は結婚をして一緒に暮らすことはなくなった。母が健在の間は、訪ねていっても、私とは関わろうとせずにすぐに2階にこもったりするので、会話もほとんどなかった。
子どもの頃は近所の友だちと「べったん」(めんこ)や「ビー玉」で遊んでいたし、中学も高校もそれなりに休まず通い、部活動もしていた。一年浪人して大学に進学してからは離れて暮らしているので、弟のことを考えたり、心配したりすることは全くなかった。
結婚もせず、ずっと母と二人で暮らしていた弟だが、高齢の母のめんどうも見てくれてありがたいなぁと思っていた。
しかし私や私の家族と積極的にかかわろうとしないなど、今思うと「ちょっと独特」と感じることは多々あった。
母が亡くなり、私はいろいろな用事でたまに帰省する。その時実家に泊まるのだが、弟と会話していると「あれ?」と思うことがある。
「外にごはん食べに行こうよー」と言うと毎回同じ店に行きたがるし、違う店を提案すると「暑い」や「めんどくさい」ととにかく嫌がる。
私に台所を使わせること、私の見るテレビの音を不快がる。私の子どもたちが訪ねてくることも嫌がるし、とにかく家に人が来ることが苦痛で仕方ないようだ。
出てくる言葉もマイナスなことが多く、「自分が何かをできなかったこと」「今の境遇にあること」を誰かのせいにしないと気が済まないように、父や母への悪口ばかり言っている。
今、彼はネコを飼っているが、そのネコをめちゃくちゃかわいがるというわけでもない。ただ、淡々と同居しているという感じだ。
「発達障害なんじゃないかぁ…」私は次第にそう考えるようになった。
「ぼくの人生おわってるよな」とポツリというので、可哀そうになる…がその数秒後に「姉ちゃんの人生も終わってるからな」…「はッ?なんでそんなことあんたに言われなあかんねん」…と一瞬で人を不愉快にさせるのだ。
聞いている方がちょっとドキッとするような失礼なことを、悪気もなくサラッと口にしちゃうのだ。
どこかの医療機関できちんとした診断を受けることで、彼の生きづらさを軽くしてくれるだろうか…と考えたこともあったが、医療や薬で治るものでないのなら、彼にとってたった一人の家族の私が彼の特性を理解して、「ぼくは一人ぼっちだ」…と思わない程度につきあっていくのがいいのではないかと…今のところはそんな風に考えている。
そうは言っても私も時々ぶちぎれそうになることも…私の忍耐が続けばいいが(笑)
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