実際の三淵嘉子さんは再婚相手の姓になっているので、婚姻届けを出して戸籍上も夫婦になられたのだと思うが、今回の朝ドラは作者の思いからか、現代の夫婦別姓やLGBTの問題もたくさん盛り込まれている。
私の心に刺さったのは、寅子が「自分が折れて夫の姓になればいい」と言ったときの岡田将生扮する「星航一」の「それでは愛情を利用して搾取していることになる」というセリフ。
我が夫はこのセリフを聞いてもピンとこないようだった(笑)
私にはこのセリフがとてもよくわかる。今でこそ男性も家事や育児・介護に参加する人も増えたが、少し前の女性は「妻」という社会的地位を与えられるかわりに、いろんなものを搾取されていた。
「これって絶対おかしい」とずっと思っていた。中には実家に帰ることを姑に遠慮している人や、実家の手伝いをさせることを遠慮している親もいたり。
何もわからず、25歳で見合い結婚で小姑が3人もいて、姑と同居することになった私は、そういう「空気」や「気分」を充分味わうことになった。小姑も姑も変な人ではなかったが、それぞれの立場になると、「そうあるべき」という前提で話してくるので、私はどうしてもなじめなかった。
姑が認知症を発症して、その上車いす生活にもなったときの親族会議では「まだ充分元気だし、可哀そうだから家で介護したら…」と言われた。
夫も近所に住んでる小姑も「自分はムリだから…」と平気で言ってくる。「嫁なんだから当然でしょ!」という空気を何の迷いもなくだしてくる。
えっ~‼うそでしょ~
私、今まで姑と仲悪かったわけじゃないけど、結構大変だったよー。毎日3食姑の食事を用意して、病院には必ず付き添った。姑の嫌味にも耐えてきた…いや、言い返したことも多々あるが(笑)
この先まだこの姑のために、私の時間と体力を使えと平気で言ってくる小姑は「母親かわいさ」でもう狂ってる、何が何でも阻止しなければ大変なことになると思った。
これは嫁という立場を与えられた引き換えに、自分の大切な人生の時間が搾取されていると感じた。
平成生まれの娘夫婦たちは全くそういう風潮がないので良かったなぁと思っている。私が産んで育てて、私の暮らし方を見ていた娘たちは私とは全く違う生き方をしている。子どもは親だけでなく、社会に育てられるんだな。
男女それぞれの特性を活かしての役割分担はあるにせよ、女だけが家事や介護をすることを不公平だということをわからない人間がウチにはいる。
夫とケンカした時に「私、ちゃんと毎日食事の用意して忙しいんだから」というと「恩着せがましい」と言われた。毎日毎日、食事の用意をしてくれる妻は「思いっきり恩を着せてもいい」と思っている。
夫は朝ドラを見ていても寅子の主張に頭の上にはてな❔がいっぱいで、「折れればいいやん」「こだわらんでいいやん」と理解ができないようだ。
こういう人たちが昭和30年代生まれでもたくさんいる。それでも寅子のような人ががんばってくれたから、ずいぶん時代はかわった。
寅子は星家の人たちと同居することになった。…「それはやめたほうがいいんじゃない?」と私は思ったが…またトラブルおきるやん(笑)
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